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オルガン制作:鍵盤部制作その2

2011/02/06の記録、その3です。
鍵盤部制作の続きです。
シャープキー側に切り込みを入れただけでまだつながっている鍵盤土台材を、本体に仮置きして、両サイドの2カ所だけ、直径2mmの真鍮釘を打ち、仮固定します。少し、似てきたかな。
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鍵盤材の上からハンドドリルで、支柱ピン、ガイドピンの刺さる位置に下穴をあけていきます。
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支柱ピン、ガイドピンとなる真鍮釘を打ち終わったところ。
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このままでは鍵盤材が取りはずせませんので、ニッパーで釘の頭を切り落とします。これが言うのはカンタンですがなかなか重労働。パレットのバネをつくるときに、太いピアノ線でも噛み切れる強力ニッパーを買ってあったのですが、狭いところでたくさんの真鍮釘を切るのですから、手が痛くなります。うっかり勢いで切ると釘の頭があらぬところへ飛んでいくし。
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ふ〜。なんとか切り落として、鍵盤材を外したところ。切り口はいかにもニッパーぶつ切り。とんがっています。ヤスリがけしようかと思いましたが狭いのて多いのとで気力なし…。
さていよいよ、鍵盤を1鍵ずつばらばらに切り離します。ナチュラルキー同士の切れ目に相当します。ここの切り幅は狭い方がよく、また短い距離なので、ジグソーを使うことにしました。ガイドを当ててジグソーで切ります。
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ナチュラルキー部分を(ほぼ)切ったところ。この後糸ノコ盤で、わずかにつながっているシャープキーとナチュラルキーを切り離します。
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切り離して、本体にのせたところ。お〜似てきた。アドレナリンでまくり〜。
難関と思われていた鍵盤部分ですが、いざやってみると、大変は大変なのですが、日曜丸一日でなんとか形の見えるところまでできてしまいました。鍵盤部を開始したのが 11:30ころ、鍵盤を全部切り離したところで 19:30 ころですから、約8時間でここまでたどり着いたことになります。
楽勝感ただよっておりますが(終わった苦労はさっさと忘れる)、これからが細かい。意外に時間がかかりなかなか進まない、ということになります。

オルガン制作:鍵盤部制作に着手

2011/02/06の記録、その2です。
手数が多そうで、難関と予想される鍵盤部分です。奏者としてはこだわりのある部分でもあります。ぜひともカッチョよく作りたい。満を持して、ではないですが、必要な道具なども届いたので、いよいよとりかかります。
鍵盤は、土台となる部分を手に入りやすい針葉樹材で作り、指に触れる表面にはコクタンなどの堅い広葉樹の薄板を貼って化粧します。まずは土台部分の加工です。アントレの記事にはチューリップウッドとか書いてありますが、入手できないので今回はホームセンターに普通に売っているマツ集成材にしました。柾目は狂いが出たとき鍵盤同士が接触するのでダメなのだそうです。
鍵盤は一つずつバラバラには作らず、板のままで先に支点ピン・ガイドピンを打ってしまうのがコツらしいです。まず、ごく普通の集成材を、鍵盤に必要な面積に切り出し、鍵盤とするための切り目をケガキます。
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こうみると最初は本当に「そのへんの板」です。これが鍵盤になるなんて想像できない。
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けがいているところ。ちょっと複雑です。鍵盤の奥の方の間隔は等間隔ではない、ということを、自分でけがいてみて初めて知りました…。手前のナチュラルキーだけの所は等間隔なのですが、間に入るシャープキーの数が場所によって違うのです。
いちど間違えてしまいました。ややこしいぞ。
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支点ピンの入る穴をあけ、鍵盤の奥側になる角を面取りします。鍵盤が押し下げられたときにひっかからないようにするのです。今回はトリマーのボウズ面ビットで一発。トリマー便利すぎる。
さていよいよ、シャープキー側の切り込みを入れていきます。アントレ記事によると、刃厚2mmで切り込んで、そこに直径2mmの真鍮釘のガイドピンがぴったり入る、という設計です。丸ノコで切るような記述です。しかし、我が木工室には刃厚2mmの丸ノコはない。みんな3mmぐらいの切り目になってしまいます。手ノコやジグソーだと、1mmぐらいだし、そもそもこれらでまっすぐ切ることは私には不可能です。そこで、身銭を切って丸ノコ刃を新調しました。じゃ〜ん。
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マキタの新品チップソー。刃厚ばっちり2mm。ホゾ切り機の使い方も教えてもらってあるので、これです〜いすいと美しい切り込みが作れる…はずだったorz。
世の中、そんなに甘くない…。
試練その1: 丸ノコ刃の直径が小さい割には、ホゾ切り機のスリーブの直径が巨大で、直径上で切り込める深さは数センチ程度しかない。足りない…。
試練その2: だいたいホゾ切り機は、45mm角ぐらいの垂木などにホゾを作る目的のもの。テーブルも小さいし、ガイドの設置できる位置も限られているし、そもそも左右に材料がはみ出すと機械のほかの部分にぶつかってしまって、切り込もうにも材料が入っていかない…。
というわけで、18鍵1オクターブと4度だけの鍵盤なのに、えらく切り込みに苦労するはめになりました。
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備え付けのガイドは使えないので、端材をクランプしてガイドにしています。このクランプがまた、うまくはまらないのです。鋳物のテーブルは裏側がでこぼこでクランプが安定しない。結局ガイドが安定しないので…切り込みが曲がる(;_;)。
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端の方は本物のガイドが使えるのでスムーズ、まっすぐ。しかしどうしても真ん中の1本は切れませんでした。どうやってもガイドから外れるか、材料がテーブルに充分に乗らずに材料を持っていかれそうになるか、うまくいかない。無理をして指を飛ばしたら大変なので、真ん中の切り込みはあきらめました。切り残した部分は別途糸ノコで切りました。
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切り込みを入れ終わった鍵盤です。切り込みは曲がっていたり、ケガキからずれていたり、と満身創痍です。ふ〜。
もしかして、この昇降丸ノコ盤&ホゾ切り機が、デカすぎるのかもしれません。もっと小振りのものなら、丸ノコ盤の方でうまく作れるのかもしれません。

オルガン制作:空気漏れ部材調整

2011/02/06の記録、その1です。
まず、先日接着してクランプした空気漏れ隙間埋め部材を、今日は手カンナで調整します。
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この写真は撮影のためのヤラセです。右手はカメラを持っています。本当はちゃんと両手でカンナがけしたんですぞ。
まっすぐになっていることを確認しながら削ります。シナベニヤ材は意外とすいすいと削れていきます。
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こんな風になりました。広いところで1mmぐらいの隙間を埋めました。
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次に、鍵盤の両脇の板部材と、各鍵盤のガイドピンが乗り、鍵盤の下方向の運動のストッパーともなる部材を横方向に、接着しました。
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上の写真ではスティッヒャーピンを一本だけ挿してみています。
つぎにいよいよ鍵盤にとりかかります。

オルガン制作:空気漏れ対策に端材貼付け

2011/02/05の記録です。
先日以前の補修をはがしたウインドチェスト前縁部ですが、今日は隙間を埋める材を新たに貼付けます。その辺の端材から同じ厚さ12mmのシナベニヤを探してきて、今回はちゃんと幅いっぱいに貼付けます。塞ぐ奥行き分もケチらず充分すぎるほどとりました。
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接着剤で貼付け、クランプします。はみ出した接着剤は、もちろんこの写真の直後に拭き取りました(^^;)。
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接着剤が乾くまで1日以上放置です。このテンポ感が、デジタル系にはない心地よさです。(って、要するにちょっとしか働かない(^^;)。いや、働けないんですってば)

ポルタティーフ・オルガン制作再開:まずは空気漏れ補修

2011/02/03の記録です。
まず、やっかいなので後回しにしてきた、ウインドチェスト前縁のフタ部分の空気漏れを、やっつけてしまうことにしました。
まず、現段階での姿を記録。いちおうパイプが並びふいごがつき、あとは鍵盤と仕上げ・塗装を残すばかりです。(と思っていたが甘かった…)
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制作のごく始めの段階で切り出した、サウンドボードとなる板の不正確さから、前縁部分に隙間があって、そこから空気漏れがするのでした。いちおう以前に対策して、直後は良好だったのですが、何ヶ月か放置した結果、フタが変形したのか、また隙間ができて漏れるようになりました。
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パイプと前フタを外したところ。
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前縁部の様子。かなりアバウトに木片を接着したのでした。しかも一部分だけ。貼っていないところから案の定空気漏れです。
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パレットまで分解するのが面倒だったので、くずが入らないように紙でパレット部分を覆い、作業しました。ジミに手ノミで削り取ります。本体をクランプでしっかり固定すると、意外とさくさく削り進みました。
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前回の補修をすっかり削り取りました。今日はここまで。

手作りオルガン大集合へGO!

2011/01/30の記録です。
かねてより古楽雑誌アントレの品川さんからいただいていた「手作りオルガン大集合」のご案内に、ついに参加しますと返事をしてしまいました。日程は 2011 3月末です。
卒論指導が一段落したこともあり、一念発起です。この会に参加表明するということは、未完成のポルタティーフ・オルガンをこの会までに絶対に完成させねばなりません。しかも演奏付きなので演奏もさらわねばなりません。まだ出来上がっていない楽器で何が演奏できるのか、はっきり言って全く不明です。だいたい演奏できるほどマトモな楽器になるんでしょうかね???。えい、なんとかなるさ。これは、とにかく早く完成させろ、という天の配剤(!?)でありましょう。ここでびびっていてはチャンスが逃げますな。
って、ただ行きたいだけ、なんですけれども。
さあて、〆切せまる学会の原稿書きなどもあるといえばありますが、オルガン製作を再開することとしましょう。

大学院:大きなリコーダー:研究室内でお披露目

大学院の講義です。後期の講義の一部で制作・改良してきた「大きなリコーダー」なる塩ビ管とオルガン木管パイプ歌口部分の組み合わせ、今日は一区切りということで、研究室の学生が集まるミーティング、通称「全研」にて簡単なお披露目をしました。

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太いパイプに紙を巻き付けた、スライド式極太リコーダー(?)も改めて紹介。

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分岐部品を「指穴」として活用し、ふいごで吹くタイプ。 ちょっとだけ音階が出せます。

大学院:大きなリコーダー:穴の位置を決めてみました

2011/01/17の記録です。

大学院の講義です。塩ビ管の分岐部品で指穴を作ろうとしている「大きなリコーダー」ですが、今日は先般から実測と計算で求めてある、音程と管長の関係に従って穴の位置を決め、その位置に分岐部品の「穴」がくるように中間の塩ビ管の長さを計算して切り出し、つなげてみました。

息の量をかなり必要とするので、口で吹くのは大変です。目が回ります。そこで今日からふいごで吹くことにしてみました。

塩ビ管分岐部品を使うときの問題点は、部品のソケット部分に長さがある関係で、穴と穴の間隔をある長さよりも狭くできないことです。 そのためこのままでは「半音」の音程差を作ることが難しい。分岐部品を一番端にして、その先にに何もつなげなければ、開口端と穴との間がちょうど半音ぐらいに相当する距離となります。

というわけで、今日は低い方の一番端が「半音」となる「ミ・ファ・ソ・ラ」の音程となるように作ってみました。

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こんな感じになりました。ふいごで吹くのは、意外とコツが必要で、もわっと押すとなかなか鳴らなかったりします。

調べてみると、音程関係としては「ミ・ファ・ソ・ラ」ですが、実際の高さは D, Es, F, G ぐらい、と、1全音ぐらい低いです。いろいろと原因となる要素がありそうです。

まだ改良すべき点の多い、なかなか不自由な楽器(?)ですが、学期末も近いので、とりあえずこの状態で研究室でお披露目することにしました。

大学院:大きなリコーダー:分岐部品を応用

大学院の講義です。子どもたちに一人ひとあなずつ手でふさいでもらう、大きなリコーダー式の楽器を作るべく、いろいろ制作方法を試しています。

前回まで、塩ビ管に紙を接着剤で固めながら巻いた紙筒を使ってきました。穴も開けてみましたがなかなか難しい。そこで今日から、塩ビ管の配管部品を利用してみることにしました。

「チーズ」という、T字型に分岐するための部品を、指穴として用います。これだと、塩ビ管の直径に近い大きな穴が正確に開いており、また切り口も塩ビ管を差し込めるソケットになっていて平らなので、手や板で容易にふさぐことができそうです。厳密には穴ではなくてかなり「出っ張って」いるので、それが音高にどのぐらい影響するかが興味のあるところです。

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今日はメンバーもあまり集まらないので、ちょっとだけ試してみました。リコーダー式のヘッドの「ふた」部分のねじが外れてしまっているので調子が悪く、あまりスムーズに音は出ませんが、ヘッドを修理し、穴の位置を調整すれば、なんとかいけそうな感じです。

オルガン作りの洋書到着

2010/12/10の記録です。
米国のAmazonに発注していたオルガン作りの洋書が、1週間程度で届きました。すばやいです。
H.F.Milne : How to build a small two-manual chamber pipe organ
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この本は、オルガン作りの参考にしている先輩サイトで紹介されていました。ふくらみの具合で風量が変化しないリザーバー(バッファ)ふいごの作り方が載っています。たくさんの図面と共に詳細に説明されています。英語ですが。
弁も、いままで私が作ってきたパタパタする弁とは違って、多数の穴に革をかぶせただけのが載っています。これなら静かそうだ。試してみよう。
それにしても、small と言っていますが充分でかいです。普通の家には入りません。まあ two-manual (2段鍵盤)ですからね。
参考にできそうな箇所を、しばらくちんたらと読み進めます。おもしろい。